従来の「信長像」を破壊する『首』の信長
今年、何かと話題になった織田信長。1月公開の映画『レジェンド&バタフライ』では木村拓哉が織田信長を演じ、綾瀬はるかの濃姫と壮大なラブストーリーを繰り広げた。脚本は大河ドラマ「どうする家康」の古沢良太。
その「どうする家康」では岡田准一が信長を演じ、主人公・家康の松本潤とBL感漂う愛憎関係を展開した。織田信長=イケメンというのが浸透しているのか、小栗旬や反町隆史、豊川悦司など、信長はこれまでも多くの二枚目俳優が演じてきた。木村拓哉はCMを含めると、4度も織田信長を演じているそうである。
ちなみに私の信長原体験は大河ドラマ「黄金の日日」(1978)の高橋幸治。彼が「太閤記」(1965年)で信長を演じた際は「信長を殺すな」という投書が殺到したそうだから、信長人気は昔から根強いのだろう。
「徳川家康」(1983)で信長に抜擢された役所広司の衝撃も忘れ難い。「麒麟がくる」(2020)で信長に扮した染谷将太はワイルドな信長イメージを払拭、演技力が高く評価された。
うつけと呼ばれた奇抜な装いや行いも天才故。どんな難題を家臣に課しても、皆、従って、応えようとした、とてつもないリーダーシップ。本当にそうなのか。
19作目、6年ぶりの新作『首』で本能寺の変を取り上げた北野武監督。この信長は実にショッキングだ。