こだわった死に様
面白いと言えば、家康は小林薫。狸親父感の強い家康を強調した配役だが、本能寺の変の時に光秀55歳、信長49歳、秀吉46~47歳、家康41歳だと考えると、ずいぶん思い切ったキャスティングである。

家康は75歳で亡くなっているので、もはや死ぬ時の家康像に近いと言ったら失礼か。じいちゃん家康がやたらと座ろうとする姿もおかしみがある。
どんな作品でも笑いを大切にしている北野監督。いやむしろ、北野作品の要である過激なバイオレンス・シーンは笑いと紙一重だ。

『アウトレイジ』でインタビューした時、重要人物の死に様をまず考えたと話していた北野監督。『首』の武将たちの死に方、殺され方にも相当、こだわったに違いない。その集大成が本能寺の変、信長の死に際だといえる。
『アウトレイジ』シリーズを経て、一流の役者たちや資金が集められるようになった今だからこそ描けた、北野監督ならではの本能寺の変。これ以上、遅くなれば、きっと体力が持たないだろう。