第1部 2油種週次油価動静(2021年1月~23年11月)
最初に2021年1月から23年11月初旬までの2油種(北海ブレント・露ウラル原油)週次油価推移を概観します。
油価は2021年初頭より2022年2月末まで上昇基調でしたが、ロシア軍のウクライナ侵攻後、ウラル原油は下落開始。ウラル原油以外は乱高下を経て、23年10月下旬から下落傾向に入りました。
ロシアの代表的油種ウラル原油はREBCO(Russian Export Blend Crude Oil)として商品登録されています。
REBCOは西シベリア産軽質・スウィート原油とヴォルガ流域の重質・サワー原油のブレンド原油で、中質・サワー原油になります。
過去の北海ブレントとの値差$2~3は品質差による正常な値差でした。
ご参考までに、カザフスタン原油は軽質・スウィート原油ですが、ロシアのドルジュバ原油パイプライン経由ドイツに輸出されているカザフ原油はウラル原油とブレンドされ、REBCOと同様の性状になります。
このカザフ産原油はKEBCO(Kazakhstan Export Blend Crude Oil)として商品登録されています。
付言すれば、昨年5月まで日本が輸入していたロシア産原油は3種類(S-1ソーコル原油/S-2サハリン・ブレンド/ESPO原油)のみで、すべて軽質・スウィート原油です。
露ウラル原油と北海ブレントとの値差はバレル約$12の水準が続いています。
この超安値のウラル原油を輸入し、自国で精製して石油製品(主に軽油)を欧州に国際価格で輸出して、「濡れ手に粟」の状態がインドです。
直近では、中東諸国やパキスタンなども新規に露ウラル原油を輸入開始しました。
下記のグラフをご覧ください。黒色縦実線はロシア軍がウクライナに侵攻した昨年2月24日です。
この日を境として北海ブレントは急騰。6月に最高値更新後に下落。
今年4月2日のOPEC(石油輸出国機構)+原油協調減産サプライズ発表後、油価は上昇開始。
一方、露ウラル原油はウクライナ侵攻後に下落開始。今年4月から油価上昇後、10月下旬以降、油価は下落傾向に入っています。
