ハッカー組織は北朝鮮の資金源になっている(Pixabayからの画像)
有名ブランド創業者の夫が北朝鮮に不正送金
韓国の人気アスレジャーウェア(運動しやすい普段着)ブランド「アンダル(ANDAR)」の創業者、シン・エリョン氏の元夫であるオ・デヒョン氏が、北朝鮮のハッカー組織と接触し、多額の資金を送金していた事実が判明した。
本件は単なる不法送金にとどまらず、韓国社会の安全保障意識やCSR(企業の社会的責任)、さらにはブランドイメージにまで影響が及ぶ深刻な事態へと発展している。
オ氏は韓国の検察によって起訴され、11月に1年の拘禁刑判決が出た。
事件の端緒は2014年にさかのぼる。
判決文によれば、オ氏は2014年7月から2015年5月にかけ、オンラインゲーム「リネージュ」の不法私設サーバーを運営していた。
しかし、ゲーム会社側のセキュリティ強化によってアクセスが困難になると、解決策を求める過程で北朝鮮のハッカー「エリック」を紹介されたという。
「エリック」は、朝鮮労働党の外貨獲得機関「39号室」傘下にある「朝鮮綾羅(ルンラ)貿易総会社」ルンラ情報センターの開発チーム長を務める。DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃やサイバーテロ関連プログラムの制作で知られる危険人物だ。
同センターは表向き貿易会社を装っているものの、実態は不法なDDoS攻撃ツールを開発・販売し、北朝鮮の統治資金を調達する組織とされる。
オ氏は中国のメッセンジャー「QQ」を通じてエリックと複数回連絡を取り、セキュリティを無力化するハッキングプログラムの提供を受けた。
その代価として、北朝鮮側が指定した中国の銀行口座に2380万ウォン(約250万円)を振り込んだ。さらには、競合する私設サーバーへのハッキングやDDoS攻撃まで依頼していたとされる。