国家安全保障の根幹に触れる行為
送金された資金は金正恩政権の外貨獲得活動、いわゆる「統治資金」に充当された可能性が高い。加えて、オ被告は過去にも詐欺罪などで執行猶予判決を受けており、前科があったことで今回は実刑判決となったようだ。
事件の最大の論点は、「国家安全保障の根幹に触れる行為」であった点だ。
韓国の検察は「個人的利益のために敵対勢力と繰り返し接触し、金品を提供した行為は、国家安保に重大な脅威を与える」と厳しく指摘した。
北朝鮮側はサイバー犯罪やプログラム販売によって外貨を得ていることが知られており、今回の送金も北朝鮮の対南工作および政権維持資金に流入した蓋然性が高いと認定された。
2025年11月13日、ソウル西部地裁は国家保安法違反(便宜供与・会合・通信等)の罪でオ被告に拘禁1年、資格停止1年(企業や団体役員に就任するなど特定の組織への参加資格を一時的に停止する措置)の実刑判決を言い渡し、その場で身柄を拘束した。
判決で裁判所は「北朝鮮の体制や思想に積極的に同調した証拠はない」としつつも、「不法プログラムの制作・販売を行い、北朝鮮の構成員と交流し金品を供与した行為は、国家安保を著しく脅かす」と断定。
「被告には詐欺などの前科があり、遵法意識が著しく欠如している」と厳しい評価を下した。
事件発覚後、アンダル現経営陣は即座に声明を発表し、「創業者夫妻は現在アンダルの株式を一切保有しておらず、経営にも関与していない」と強調した。
実際、オ氏は度重なる問題行動により、オ氏とシン氏夫妻は2021年にすべての役職を辞任している。現在アンダルは「エコシステム」に買収され、全く別の経営体制となっている。
しかし、報道では「アンダル創業者の元夫」という肩書きが強調されるため、ブランドイメージへの影響を懸念する声は根強い。