時代が一回りしてフロントランナーに

 そして、経済優先・開発優先だった昭和が終わり、低成長に苦しんだ平成も半ばを過ぎると、日本人の価値観は「茅乃舎的なもの」を大切にする方向に変わった。令和の今は何と言ってもSDGsである。

 その文脈で久山町を眺めれば、自分たちが子どものころに見ていたような、あるいはスタジオジブリのアニメにしか存在しないと思っていた里山の風景が一つのかたまりとして残っている。それも、博多から30~40分という場所に。

 しかも、自然環境は一度開発の手を加えてしまうと、元には戻せないため、懐かしい里山の風景は復元できない。そういうところに住みたいと考える人が増えたとしても、もはや供給できないのだ。

 それがゆえに、久山町に移住したいと考えるが増えている。時代が一回りして、久山町がフロントランナーになったのだ。

 この過去の資産を未来につなげようと、西村町長の号令の下、久山町ではさまざまなプロジェクトが進んでいる。

※第3回「超有名『久山町研究』はなぜ生まれた?3つの資本を進化させ続ける久山の挑戦」に続く