2.予想通り南部戦線での攻勢作戦実行

 今、最も注目されているのは南部戦線である。

 ウクライナ軍が南部戦線で実行している攻勢作戦の狙いは、アゾフ海まで、突き進むことである。

 具体的には、アゾフ海に近接する主要都市のメリトポリあるいはベルジャンスクを奪還するか、アゾフ海に近接して東西に走るM14道路を獲得することにある。

 この戦線は、ウクライナ軍がアゾフ海に突き進み、ロシア軍を分断、孤立させ、その後、クリミア半島に向かおうとする正面だ。

 ウクライナ軍は、米欧等の地上兵器を受領し、この地に最も多く戦力を集中する。

 ロシア軍もこのことが分かっていたので、最も重視して戦力を集め、準備したのがこの南部戦線である。

 南部戦線でのロシア軍は、この地で防御戦闘を行い、ウクライナ軍の攻撃を阻止して、撃退する計画を策定して、前進陣地、第1線防御ライン、第2線防御ライン、第3線防御ラインを構成してきた。

 半年以上も準備して構築した陣地と守備部隊で、絶対に負けられない戦いであるということを意識していたはずだ。

 敵方から見て、対戦車壕、竜の歯の対戦車障害、その間に地雷を設置し、その後ろに兵器と兵が入る壕を構築した。

 ロシア軍守備部隊は、隙のない火網(かもう)を作り、ウクライナ軍を火力ポケットに誘導して撃破する準備をしてきた。

 火砲と連携する機動打撃も、何度も訓練していたに違いない。

 それらの中でも最も強靭に作られたのが、前進陣地と第1線防御ラインである。

 その一つであるオリヒウからロボティネまでの突破作戦をウクライナ軍は実行した。