F-16供与が不可欠になってきた(写真はF-35A LightningⅡと編隊を組んで飛ぶF-16=右上の2機、韓国西岸上で7月28日撮影、米空軍のサイトより)

 今、ウクライナの戦場はどうなっているのか、本論に入る前に米戦争研究所(ISW=Institute for the Study of War)などの報告書をまとめる。

 東部戦線の地上戦闘では、ロシア地上軍が局地的に攻勢を仕掛けている。

 ザポリージャ正面などの南部戦線では、ウクライナ地上軍がロシア軍の防御線を突き破ろうとして、少しずつではあるが、戦場の要点を奪回しつつある。

 南部戦線のへルソン正面では、ウクライナ軍特殊部隊など少人数がボートに乗船し、ドニエプル川を渡河し、ロシア側陣地に潜入した。

 そして、今後の渡河作戦のために、小さな橋頭保を3か所作りつつある。

 これらの作戦に連携して、後方連絡線となるクリミア半島とロシア本土を繋ぐクリミア大橋、クリミア半島とザポリージャ州を繋ぐ2つの橋梁を部分的に破壊している。

 また、弾薬や兵員の後方補給点となるロシアが占拠している地域内の弾薬・燃料施設、訓練施設、武器保管施設などを長射程巡航ミサイルで破壊している。

 ウクライナ軍としては、この戦況は期待通りではない。

 戦場の第一線地上部隊の反撃が、ロシア地上軍の防御線における抵抗を受け、戦場の要点の奪回に時間がかかり、損害も出ている。

 その理由に、ロシア軍の防御準備のほかに、ロシア空軍の戦い方で一つ大きく変化したことが挙げられる。

 ロシア空軍戦闘機と攻撃ヘリが、都市攻撃から近接航空支援(対地攻撃支援:戦場の地上軍を目標に攻撃すること)に、重点を移したことである。

 具体的には、ロシア軍戦闘機や攻撃ヘリコプターが、ウクライナ軍防空網の外から対地攻撃支援を行っているのである。

 これによる、ウクライナ軍の被害状況は詳細に報告されてはいない。

 しかし、戦闘機等によるミサイルと爆弾による被害がかなり出ているとみてよいだろう。しかも、ロシア軍戦闘機に手出しができていないのが現状である。

 そこで、ロシア空軍の戦い方が変化したことによってウクライナ軍に出た影響、さらに、ウクライナ軍の期待について、考察する。