文=松原孝臣
アカデミーの創設とアイスリンクの建設
フィギュアスケートの支援活動に取り組む木下グループは、ときにシングルの選手も交えながら、カップル競技の選手たちの支援を他に先駆けて始め、今日まで続けてきた。
並行するようにジャパンオープンやカーニバルオンアイス、アイスショーなどのスポンサーとしてもフィギュアスケートに携わってきた同社が、新たな形での取り組みを始めたのが2020年4月1日の「木下アカデミー」創設と、2019年12月15日に京都府宇治市にオープンした「木下アカデミー京都アイスアリーナ」建設への参画だ。
同社の広報担当者が語る。
「順番としては、アカデミー構想があってから、リンクをつくる、という流れですね。アカデミーは、濱田美栄先生から、ロシアのように小さい頃から育てたいという相談があり、民間版エリートアカデミ―みたいなことをやりましょう、とお話させていただきました」
「濱田美栄先生」とは、長年スケーターの育成・指導に携わる指導者で、これまでに宮原知子、紀平梨花など多数の選手を育てた。現在は木下アカデミーのゼネラルマネ―ジャーとして、昨シーズンの世界ジュニア選手権で優勝した島田麻央らの指導にあたっている。
「アイスアリーナについては、京都府さんの方で京都にリンクをつくりたいという思いがあって、ただ協力していただける企業がない。探していらっしゃったときに濱田先生経由で京都府スケート連盟の方をご紹介いただいたのがきっかけです」
その後、土地を所有する京都府、運営にあたることになっていたリンクの運営・施工・管理などを担う「パティネレジャー」などと調整し、木下グループがアリーナ建設に加わることになった。アカデミーはアリーナを練習拠点とする。
練習生は、もともと濱田コーチが指導してきた選手に加え、濱田コーチに、あるいは木下アカデミーに連絡をとってきた選手の中から選考しているという。
練習生には、スケートにかかわる費用の面でサポートするほか、学習面では通信制の星槎学園と提携し、週3回、アリーナの施設内で直接勉強を見てもらえる環境を整えている。
氷上や陸上トレーニングに加え、俳優を招いての演技指導、バレエレッスン、K-POPダンサーによるレッスン、選手時代から契約し引退後もアンバサダーを務める卓球の水谷隼氏にアドバイスしてもらう機会を設けるなどさまざまな形でサポートを図っている。
アカデミーには島田や、今シーズンにシニアのグランプリシリーズデビューを飾る吉田陽菜、千葉百音らシングルの選手たちがいる。