カップル競技の選手を日本で育てたい

 その一方で、アカデミーにはカップル競技の選手も目立つ。アイスダンスでは今年6月に結成した吉田唄菜/森田真沙也。ペアは、ともに今年5月に結成した長岡柚奈/森口澄士、清水咲衣/本田ルーカス剛史がいる。これまでもカップル競技に取り組んできた選手、新たに挑戦する選手と背景は異なるが、それぞれに躍進を誓い、スタートを切った。

「木下アカデミーには、カップル競技の選手を、ゆくゆくは日本で育てたいという思いがあります。今は環境が日本にないから、みんな海外に行くじゃないですか。日本で練習環境を整えたいのでリンクの建設に協力したということもあります」

 三浦璃来と木原龍一がカナダで生活をおくりながら練習しているように、ペアやアイスダンスは、練習する環境やキャリアのある指導者に教わるため、トップレベルで活動しようとすると海外に拠点を求めざるを得ない。その現状を打破しようというのだ。

「アイスダンスに関しては、キャシー・リード先生がメインのコーチとして指導にあたっています。世界を目指すとなると、今は足りない部分があるかと思うので、年に何度か海外に合宿するという形をとっています。今もフィンランドに行っていますが、そこで経験を積んで戻ってきて、キャッシー先生に教えていただくという流れです。また、先日も宇治に来ていただいたんですけれども、秋にもケイトリン・ウィーバー(カナダ。ソチ、平昌オリンピックに出場するなど活躍したアイスダンサー)に来ていただく予定です」

 ペアのふた組も8月から9月にかけてカナダのトロントで練習に打ち込んでいる。

 カップル競技の選手を育てるための課題は感じ取っている。

「指導者ですね。招へいすることができなければ、どうしても海外に移って練習する、ということになってしまいます」

 課題を突破していく鍵として、あるスケーターの名前をあげた。

「木原龍一選手がいつか現役を引退されたら、宇治で教えていただきたいですね」

 長年、木原を支援する中で人柄を含め見てきて、指導者としての適性を見出す。