信頼できる第三者に相談しよう

──話を聞いた結果、子どもが「学校でいじめられている」と打ち明けたら、どのように対応するべきでしょう。

石井:我が子がいじめられていると分かって、冷静になれる親はこの世には存在しません。お勧めしたいのは、親が第三者に相談することです。第三者とは、親が一番信頼できる相手です。小児科医やカウンセラー、祖父母などが挙げられます。

 第三者として選ぶべきでないのは担任の先生です。学校は子どもを無理やりクラスに連れ戻そうとする傾向が強く、傷ついている子どもへの対応は不向きだからです。

 親は子どもが学校に行かなくなると、どうしても冷静さを欠いて、普段ならありえないような衝動的な行動に出てしまいがちです。とにかく、一度落ち着いて、信頼できる第三者に現在の子どもの状況と子どもが打ち明けた話を相談してみましょう。きっと現実的で、親子を一番に考えたアドバイスをくれるはずです。

 親御さん自身も子どもが学校に行かなくなると、自分を責めてしまいがちです。そうした感情は一度置いておいて、具体的な行動に移すことが重要です。

 親が「学校に行かなくてもいい、不登校でもいい」と思うことはなかなか難しい。「学校に行ってほしい」と願うのは、極めて自然でしょう。その上で必要なのは、親自身の気持ちの整理です。ずっとお子さんの様子を観察するだけでなく、親の好きなことをするなどして、リフレッシュしましょう。子どもは親が思っている以上に親のことを見ていますので、親が笑顔だと子どもも笑顔になり、ストレスが和らぐものですよ。

──第三者に相談した後は、どうすれば良いのでしょう。

石井:まずは、学校を休ませましょう。心の傷が治らないうちに無理やり学校に行かせても学校に行けるようにはなりません。子どもが休んでいる、つまり家にいるうちは親も戸惑うかもしれませんが、まずは何もさせずに心の充電に時間を充てましょう。

 子どもを休ませていると、親は「いつになったら学校に行けるようになるのだろう」と不安になると思います。一般的には、子どもが抱えている心の傷の深さに応じて、学校に行けるようになるまでに必要な充電期間が決まります。「何もしない」ことは親にとっても大変なことだと思いますが、ここは我慢してほしいところです。