(舛添 要一:国際政治学者)
マイナンバーをめぐるトラブルが後を絶たない。この問題が岸田内閣の支持率を低下させていることは否めない。問題の展開によっては、首相の解散戦略にも大きな影響を与えるであろう。
続出するマイナンバー問題
政府は、マイナンバーのひも付けに関する調査を行っているが、さきに公表した中間報告でも数多くのミスが発見されている。一日も早く問題の全体像を示すべきであるし、新たな手違いが分かったら、即座に対応すべきである。
実際にまた、新たな問題が発覚した。
マイナンバーカードと一体化した保険証について、「協会けんぽ」の加入者の約1%に当たる約40万人分の情報がマイナンバーとひも付いていなかった。加入者がマイナンバー情報を保険組合に提出することで、保険の情報と結びつくようになるが、そもそも情報が提供されていないケースがあった。また、住所や氏名などをもとに情報を照会しても、住所などが一致せず、マイナンバーが判明しない事例もあったという。
マイナンバーと保険情報のひも付けは、マイナンバー制度開始直後の2016年に始まっている。このひも付けが全ての加入者について終了しているというのが基本的前提であった。ところが、その前提が間違っていたのだから驚くほかはない。このようなケースは40万どころか、その倍くらいはあるのではないかと見られている。
必要なのは、ミスの原因を徹底的に究明することである。それと、「政府は無謬である」という「御上(おかみ)信仰」を捨てて、自らもデジタル社会の構築に参画し、努力することが不可欠である。