8月4日、マイナ保険証などについて会見した岸田文雄首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 日本の政治の劣化が止まらない。岸田内閣の支持率は続落しているが、野党は小党分裂状況を続けており、政権交代の可能性を論ずることすらできない。内外の難問が山積する中で、日本の政治はどうなるのか。

内閣支持率低下の原因はマイナンバーのトラブル

 岸田内閣の支持率が低迷している。マスコミの世論調査によると、7月の内閣支持率よりも不支持率のほうが各社で高い。支持率・不支持率の順に並べてみよう。NHK(調査期間7月7〜9日)が38.2%・40.6%、共同通信(14〜16日)が34.3%・48.6%、朝日新聞(15〜16日)が37%・50%、読売新聞(21〜23日)が36%・52%、日経新聞(28〜30日)が40%・51%である。

 8月になって、4〜7日に行われた時事通信世論調査によると、内閣支持率は26.6(-4.2)%と、3カ月連続で下落した。不支持率は47.4(+8.1)%である。政党支持率は、自民党が21.1%で、内閣支持率との合計は47.7%と50%以下である。これは「青木の法則」では政権崩壊である。まさに赤信号が点っている。

 この不人気の最大の理由はマイナンバーカードのトラブルへの対応である。岸田首相は8月4日に記者会見し、健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する時期に関して、来年の秋としている廃止時期を延期するかどうかを決めるのは今年の秋以降に先送りするとした。どう対応すべきかについては、与党内でも意見が割れており、判断できない状況になっているのである。

 8日には、政府は、マイナンバーの「ひも付け」に関する中間報告を公表したが、健康保険証とのひも付けミスが新たに1069件見つかったという。これまでのミスと合わせて合計8441件である。また、処方された薬など個人情報のひも付けを間違い、他人に閲覧された件が新たに5件見つかり、合計15件である。さらに、共済年金のひも付けミスが118件あった。また、障害者手帳でも2883件のミスが発見されている。

 総点検は11月末までに完了すると言うが、中間報告でこの数であるので、どこまでミスが拡大するか不明である。マイナンバーカード登録関連の作業は自治体が行っているが、担当者の業務負担が増え、人為的ミスが起こるのは当然だという声もあがっている。