7月28日、北朝鮮の休戦協定締結70年を記念した軍事パレードでの金正恩氏の姿を映し出す韓国ソウル駅のテレビスクリーン(写真:AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 1989年にベルリンの壁が崩壊し、1991年にはソ連邦が解体した。1917年にレーニンがロシアでボリシェヴィキ革命を成功させ、地球上にマルクス主義・共産主義の国家が初登場した。このソ連の体制は70年余で終わったが、中国や北朝鮮では、まだソ連と同じ政治体制が続いている。

朝鮮戦争「戦勝」記念日

 1950年6月25日、金日成に率いられる北朝鮮軍は北緯38度線を越え、韓国に侵攻した。

 1950年4月、朝鮮半島の武力統一を狙う金日成はモスクワを訪問し、スターリンと共に詳細な侵攻の計画を立てた。さらに、5月には中国を訪ね、毛沢東からも軍事支援の確約をとったことから、スターリンは金日成の軍事侵攻を承認する。

 こうして、1950年6月25日、北朝鮮は北緯38度線を越え、韓国に侵攻した。これを受け、ソ連が欠席する国連安全保障理事会で国連軍が結成され、マッカーサーを司令官として朝鮮半島に派遣される。国連軍は、当初は苦戦するが、9月に仁川上陸作戦を成功させて、平壌を陥落させた。

 すると今度は、中国が人民義勇軍を参戦させ、ソウルまで制圧する。国連軍は、翌年3月にはソウルを奪還し、中国・北朝鮮軍を38度線まで押し返すが、戦況は膠着状態となった。

 その後、長い停戦協議を経て、1953年7月27日に休戦協定が調印されたのである。北朝鮮は、この日をアメリカに対する「戦勝」の記念日としているが、現状は休戦状態のままであり、正式には戦争は終わっていない。

 それからちょうど70年。北朝鮮が開催した70周年の式典には、ロシアからショイグ国防相が参加した。ショイグは金正恩総書記と会談し、プーチン大統領の親書を手渡した。北朝鮮のメディアによると、両者は国防・安全保障の分野について意見を交換し、見解の一致をみたという。また、二人は武装装備展示会の会場にも足を運び、新型ICBM級の「火星18」などの最新兵器を視察した。

 中国も、政治局委員の李鴻忠全人代副委員長が訪朝し、習近平主席の親書を届けている。朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」によると、金正恩が朝鮮戦争で戦死した毛沢東の息子の墓に25日に献花したという。

7月27日、北朝鮮の「祖国解放戦争勝利」(朝鮮戦争停戦)70周年記念閲兵式に出席した金正恩朝鮮労働党総書記。ロシアのショイグ国防相(左)、中国の李鴻忠全国人民代表大会(全人代)常務委員会副委員長(右)が同席した=平壌・金日成広場(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 このように、今回の記念式典は、ロシア、中国、北朝鮮3カ国の協力関係を世界に誇示する機会となった。

 27日夜には、平壌で大規模な軍事パレードが行われた。