(舛添 要一:国際政治学者)
昨年2月24日のウクライナ侵攻から1年半が経過した。しかし、戦場では激戦が続いており、停戦の見通しは全く立たない状況である。
そのような中で、23日、ワグネルの創始者、エフゲニー・プリゴジンの自家用機が墜落し、搭乗していたプリゴジンが死去した。その1日前には、プリゴジンと親しいセルゲイ・スロビキン上級大将が、航空宇宙軍の司令官を解任されている。
ロシアでは、今、何が起こっているのか。
プリゴジンの不可解な死
8月23日、ロシア非常事態省は、モスクワからサンクトペテルベルクに向かっていたプリゴジン所有のジェット機が、北西部のトベリ州で墜落したと発表した。乗客7人と乗員3人が搭乗しており、乗客名簿にはプリゴジンの名前もあったという。
しかし、本当にプリゴジンが搭乗していたかどうかは、検死により身元が確認されるまでは不明である。名簿に嘘を記載して、実際はどこかで生きている可能性もある。ロシアの航空当局は、プリゴジンの死亡を確認したというが、死亡した乗客には、ワグネルの共同創設者ドミトリー・ウトキンも含まれているという。
ワグネルのトップ2人が同じ飛行機に乗るような行動は避けるはずであり、それもプリゴジンが搭乗していなかったという説の根拠となっている。