なぜ10式のトータル評価が低いのか?

 なぜ、我が10式戦車の総合評価が低いのか。答えは簡単である。

 憲法上の制約からも、10式は日本国内以外での運用を考慮していないからである。

 10式が運用される場面は敵の着上陸を阻止するための対着上陸戦闘、さらに内陸に侵攻する敵の阻止撃破(含む対空挺ヘリボーン戦闘)、都市における戦闘等である。

 これらの運用場面における特徴は、日本国内では通視距離(障害物がなく見渡せる距離)が概ね2.5キロ以下がほぼ100%であることである。

 この特徴を生かすため、敵に先んじて目標を発見し、先制射撃より100%の確率で撃破することで任務を達成すると共に生存を図っているのである。

 その為、10式は前後左右に迅速軽快機敏に行動し、敵に先んじて「見敵必殺」を実施することが可能な各種機能を満載しているのである。

 それにより、装甲防護力の弱点を補っているのである。世界のあらゆる地域での運用などは最初から検討されていない。

 しかしながら、ウクライナにおける戦闘を見ると、その戦場地形(都市、道路、河川、耕作地、小森林が不規則に連接している)はまさに日本国内の地形と類似している。

 10式がその能力を十分に発揮できる地域であるのは間違いのないところである。