増産基調だった米シェールオイルも減産へ

 「重し」となっていたロシア産原油のディスカウント幅が縮小していることも世界の原油価格の押し上げ要因となっている。西側諸国の制裁が続いているのにもかかわらず、ロシアのウラル産原油の価格が節目の1バレル=60ドルを超えるようになっている。

 ロシア産原油価格が上昇しているのはインドと中国の旺盛な需要のおかげだ。6月のインドと中国によるロシア産原油の輸入量はそれぞれ日量約200万バレル、256万バレルとなり、両国ともに過去最高を更新した。

 ロシア産原油の地政学リスクも意識され始めている。8月5日、ロシアが実効支配するクリミア半島沖でロシアのタンカーがウクライナ側の攻撃を受けて損傷した。

長らく増産基調が続いてきたシェールオイルも減産へ(写真:Alamy/アフロ)

 世界最大の原油生産国となった米国にも変化が生じている。過去10年間、増産基調にあったシェールオイルの生産量が8月から減少することが明らかになっている。米エネルギー情報局によれば、主要シェール層7カ所の生産量は過去最高となった7月の日量942万バレルから8月に同940万バレルに減少するという。

 シェールオイルの減産は今後も続く可能性が高い。7月28日時点の米国の原油生産向けの掘削装置(リグ)稼働数は7週連続で減少し、昨年3月以来の低水準となっている。足元の原油高の状況でもシェール企業は増産する気配を見せていないからだ。