米WTI原油先物価格はこのところ、1バレル=70ドル台前半で推移している。原油価格は今年に入って約10%下落した。
足元では欧米の中央銀行による追加利上げ観測で景気減速への懸念がくすぶる一方、産油国の減産などによる需給の引き締まりが意識されている。様々な材料が交錯している状況だ。
こうした中、国際機関による世界の原油需要予測は相変わらず強気だ。
石油輸出国機構(OPEC)は6月の月報で「今年の世界の原油需要は前年より日量235万バレル増加する」との見通しを示した。中国の原油需要については日量84万バレル増と、5月の予測(同80万バレル増)を上方修正している。国際エネルギー機関(IEA)も強気の姿勢を崩していない。
筆者はこうした強気の需要予測に懐疑的だ。両機関の予測が正しいとすれば、OPECプラスの減産で世界の原油市場は逼迫し、原油価格は上昇していなければならないはずだ。だが、市場を覆う悲観論を払拭できず、投資マネーの売りが相場を下押ししている。
投資マネーは需給の実態を認識しておらず、需要が回復していることに気づけば原油価格は上昇するとの見方もある。果たしてそうだろうか。