米国でいま、工場建設のブームが起きている。
半導体から電気自動車の部品に至るまで、様々な物品を米国内で製造しようとの動きが顕著なのだ。
これまで米製造業者は中国をはじめとする新興国で安価な労働力に頼るため、現地に工場を建設し、製品を生産してきた。
だがいま、米製造業者は工場を米国に戻し始めており、それに伴って工場建設のラッシュが起きている。
米商務省の国勢調査局が6月に発表したデータをみると、米製造業者による工場建設の支出費は過去1年間で2倍以上に増えていた。
その額は年間約1900億ドル(約27兆4000億円)に達している。いったい何が起きているのか。
特にコンピューター、電子機器、電気機器の分野が顕著で、同分野に限ると実質建設費は2022年初頭以来、約4倍に膨れ上がっている。
実はバイデン政権になってから、製造業を米国内に戻すため、インフラ投資・雇用法(IIJA)という法律が2021年に成立し、多額の補助金がつけられていた。
米国内で製造する企業に対し、数百億ドル相当の補助金を提供している。
そして、道路、港湾、空港、また電力インフラ等に政府予算が割かれたことで、製造業者が「米国内は悪くない」と考えるようになったのだ。