- 米バイデン大統領による「独裁者」発言に、中国の習近平国家主席が猛反発している。
- ブリンケン訪中による緊張緩和の機運が台無しとなり、11月に予定されていた米中首脳会談の開催も危ぶまれる。
- 強力な中央集権による高成長モデルが行き詰まっており、米国側の指摘に過剰反応する中国側の焦りが透ける。
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
「(中国の偵察気球がルートを外れて今年1月末から2月初めに米本土を飛行したことを)習氏は知らなかった。何が起きているか知らないことは独裁者には大きな恥となる」
バイデン米大統領は6月20日、自らの政治資金パーティーでこのように述べた。
3期目入りした習近平国家主席は自身への権力集中を進めており、「独裁者」と言っても過言ではない。だが、米国の大統領にそう言われれば、黙っていられない。当然、中国側はこの「独裁者」発言に猛反発した。
ブリンケン国務長官の訪中で生まれた緊張緩和の機運が台無しとなり、11月に予定されていた米中首脳会談の開催が危ぶまれる事態となっている。
メンツを重んじる中国が「独裁者」発言に反発するのはわかる。だが、なぜブリンケン訪中の成果も台無しにするほど過剰反応するのだろうか。筆者は「中国の統治制度が大きく揺らいでいることが関係しているのではないか」と考えている。