ガソリン需要の盛り上がりは9月まで

 「買い」材料が揃っている供給サイドだが、需要サイドはどうだろうか。

 世界最大の原油消費国である米国経済の底堅さはプラス材料だ。

 今年第2四半期の米国の実質国内総生産(GDP)の速報値(前期比2.4%増)が市場予想(2.0%増)を上回ったことはリスク資産である原油にとって追い風だ。米国ではドライブシーズンとなる夏場にガソリン需要を中心に原油需要が増加することから、ガソリンの平均小売価格は昨年11月以来の高値となっている。米国の原油在庫も7月最終週に1700万バレルを超える大幅な減少となっており、米国内では需給逼迫感が生じている。

 だが、この傾向は長続きしないだろう。

 ガソリン需要の盛り上がりは9月のレーバーデーまでだ。インフレ率は鈍化したものの、物価高は米国の個人消費に深刻な打撃を与えつつある。

 米製造業の7月の景況感指数も46.4となり、9カ月連続で好不況の分かれ目である50を下回っており、米国の原油需要の下振れリスクが高まっていると言わざるを得ない。

 市場が注目している中国の原油需要はどうだろうか。

 中国の6月の原油輸入量は前年比45.3%増の日量1267万バレルとなり、過去2番目の水準となった。割安なロシア産原油の購入を拡大し、在庫が3年ぶりのペースで積み増しされていることが主な要因であり、中国の原油需要が盛り上がっているわけではない。

 7月以降、ロシア産原油の価格が上昇していることから、中国の原油輸入量が再び減少に転じる可能性がある。