攻撃が続くなかストレス発散のためにジムへ

 戦争という日常を忘れるために、場所や空間を少しでも変えることも必要だ。郊外へ行って自然と触れ合ったり、釣りをしたり、自転車に乗ったりすることも推奨されている。どこにも行けないのであれば、家に花を飾ったり植物を買ってきて育てたりするのもいい。私も、去年の春先にチューリップを買い、花瓶に飾って花が開くのを見て毎日楽しんでいたことがある。

ウクライナの首都キーウの地下鉄近くで花を売る女性(写真:AP/アフロ)

 ウクライナからは飛行機が飛ばないので、国外に行くのは大変な仕事になった。それでも行く人がいる。キーウから車か電車でポーランドやスロヴァキア、ハンガリーの国境を越える。ワルシャワ、ブラティスラヴァ、ブダペストからなら、飛行機でどこにでも飛ぶことができる。

 だが、残念ながら時間はかかってしまう。私の教え子の学生は3日間のプチ旅行でイタリアへ行ったが、ポーランドで飛行機に乗るまでにまる1日かかったと言っていた。ボルィースピリ国際空港のターミナルDは日本の円借款で建設されたものだが、ここだったらキーウ中心部からタクシーで40分程度でアクセスできるため、飛行機に簡単に乗れた時代はよかったなあ、と残念がっていた。

 ストレスが体に染み込み、首や肩の筋肉が固まってしまってリラックスできない人もたくさんいる。医師はやはり運動を勧めているから、2022年の春からは再開したジムも多いのだ。10月以降、キーウのインフラへの攻撃が続いているが、暗いなかで頭に懐中電灯をつけてトレーニングを続けている。帽子に電灯(電球)が付けられているものを買った人も少なくないようだ。