グロッシ事務局長に執拗に付きまとう「反IAEA」デモ
グロッシ事務局長には2泊3日の滞在中、常に抗議デモが付きまとった。
それは同氏の到着直後から起きた。グロッシ事務局長が7日午後10時47分頃に金浦空港に到着すると、デモ隊が入国通路をふさぎ、「グロッシ、ゴーホーム」などのシュプレヒコールを繰り返した。グロッシ事務局長は、2時間以上も空港に足止めされ、ようやく貨物用通路から空港を出たのは2時間余り後だった。
デモ隊はホテルにも押しかけたし、政府庁舎で韓国原子力安全委員会の劉国煕(ユ・グクヒ)委員長、外交部庁舎で朴振(パク・チン)長官と会った際も付きまとった。
野党系メディアの記者の取材も酷いものだった。「IAEAは日本から100万ユーロ(約1億5000万円)を受け取り、処理水放出が安全だという報告書を書いた」という陰謀説に基づく質問をぶつけたのだ。グロッシ氏は不愉快そうな表情で「何も受け取っていない、とんでもない」と答えていたが、心底呆れ果てたことだろう。
潘基文(バン・ギムン)前国連事務総長は、韓国の
潘氏としては実に恥ずかしい気持ちだったのだろう。
某大学教授は今回の“グロッシ氏糾弾”について「落ち着いて意思表示をするデモは国民の権利」とする一方で、「外交日程を妨害するほどのこうした過激なデモは国の品位を傷つけることになる」と嘆いた。
韓国では狂牛病騒ぎやセウォル号沈没事件、哨戒艦「天安」沈没事件の際などに様々なデマ政治が繰り広げられてきた。国民の多くもそれに嫌気がさしている。IAEA事務局長への常識外れの態度を目の当たりにして、国際社会も韓国国内政治に嫌気を感じたはずである。