しかし、この出来事を契機に民主党の異質な体質が国際社会に明らかになったことは、韓国政治にとっていいことかもしれない。これによって、民主党が韓国国内で中間派からも徐々に阻害されていくことになるかも知れないからである。

民主党にとって処理水問題は科学でなく政治闘争

 今回の処理水放出問題は、狂牛病の輸入問題で李明博政権を窮地に追いやった成果を再現しようとする民主党の政治闘争でしかない。朝鮮日報は、狂牛病問題の際、最前線で闘争を主導したミン・ギョンウ氏の「反省の弁」を報じている。

 同氏はソウル大学文学部学生会長出身で、利敵団体「祖国統一汎民族連合」南側本部事務処長を10年、韓米FTA汎国民運動本部政策チーム長を07年から08年に務めた人物であり、この運動本部には北朝鮮の主体思想派の人々が入っている。同氏は狂牛病デモの後疑念を感じ運動家から手を引いている。

 同氏によれば、「狂牛病について、ファクトについて会議を開いたことはない。李明博政権退陣にいかに使えるかという次元でのみ話のやり取りをしていた」とし「政務的判断が専門家の判断より優位にあるという世界観を持っているのが学生運動出身者」だと述べている。まさにそれが今の民主党を貫通している世界観である。