民主党執行部は、IAEAの報告書に対し、「中立性と客観性を失い、日本に偏向した検証」と糾弾した。
海洋投棄阻止対策委員会の禹元植(ウ・ウォンシク)議員は、「IAEAは日本に合わせて調査を行った」「汚染水が安全ならば、飲料水などに使うよう日本政府に勧告する意思はないか」と詰め寄った。また同委の委員長・魏聖坤(ウィ・ソンゴン)議員は「IAEA最終報告書のずさんさを指摘しないわけにはいかない」と批判した。
グロッシ氏は、最初はメモを取りながら民主党側の主張にうなずいていたが、理不尽な追及が続くと表情をこわばらせ、眼鏡をはずしてため息をついたりした。
そもそも民主党には真摯に対話をする意思はなかった。あくまでも政府与党との対決にあたり、IAEA報告書が邪魔だったのである。ただ、グロッシ氏としても韓国に来た以上、民主党をスルーすることはできなかった。
IAEAに関しメディアで「虚偽」を述べる民主党議員たち
民主党の李在汀(イ・ジェジョン)議員はMBCラジオのインタビューで「IAEAは核兵器使用を防いで核発電と核使用を奨励するための機関」とし「多くの国民がこのような問題に関与できる機関だと誤認している」と発言した。
また、同党の梁李媛瑛(ヤンイ・ウォヨン)議員もKBS第1テレビの時事番組に出演して「IAEAは原発国家が分担金を出して運営する機構」だと主張した。
民主党議員はこのように国際社会の仕組みと常識を無視した主張を繰り広げた。
また、こうした事実関係を無視した主張を韓国の公共放送であるKBSやMBCが取り上げることも問題である。もともと韓国の放送局は革新系の主張に偏った報道をしており、中立・公正な報道とは言えない内容で韓国政府との対立が目立ってきている。政府が報道機関に圧力をかけることは好ましいことではないが、放送局の報道姿勢に問題があることも明らかである。