問題山積、資材も手に入らなければ倉庫もない

 A氏が関与するパビリオンもいろいろな建設会社と交渉を続けたものの、日本の建設会社が申請することが必須のためにまだ話がまとまっていない。

「人手は別にして、まず資材が手に入らないという問題が起こっています。今回の万博では大量の材木を使用するパビリオンが多くて絶対的に不足しています。海外から輸入するにもその資材を置いておく場所が用意されていないので協会は今になって資材倉庫を確保するために動き回っているんです」

 工事車両のアクセス道路も整っていない。12トントラックが資材を搬入する予定であるが、搬入道路が一本しかないので、搬入するトラックには制限が掛けられて工事が順調に進む態勢は取られていないのだ。

 もっと言えば、工事以前の問題が起こっている。それは日本関連のパビリオン工事の入札に応札する建設会社がないという異常事態である。

 決まったのは万博のメインの建物である日本館を担当することになった竹中工務店だけ。それも入札ではなかった。そしてその他は応札なしである。

「入札に参加できる企業は建設業績ランクで分けられていますから、ゼネコンが多くなるのですが、それらが足並みを揃えて入札に参加していません。こうなると入札ではなく随意契約になるでしょう。となれば、建設費は想定以上に膨らむ可能性があります。これでは足元を見ているようにも思われてもしょうがありません。随意契約したゼネコンもおそらくジョイントベンチャーにして他の建設会社を入れる形を取るでしょう。そのあたりに大阪地検特捜部が関心を持っているとの噂もあります。東京五輪で東京地検特捜部が派手に活躍しましたから大阪も万博を名声を上げるチャンスと思っているのかも知れません」(在阪全国紙社会部デスク)