善福寺川緑地公園内の通称「ロケット公園」(2023年11月16日筆者撮影)

 杉並区の審議会で異変が起きた。

 1月16日、議題は小池百合子知事都政が進める「東京都市計画河川第8号善福寺川」の変更案。東京都に出す地元区としての意見をまとめるために開かれた都市計画審議会(都計審)で、出席委員の3分の1が都の提案に反対したのだ。

 賛否がここまで分かれることは「都計審史上、なかなか例がない」と感想を述べたのは、傍聴に訪れていた原田あきら都議会議員だ。

「変更案に賛成した委員からも『丁寧な説明を』という声が出た。特に、知事与党の『都民ファーストの会』の区議が、地元住民の声を聞いて、ロケット公園の代替について発言したのは重大で、都が都市計画決定したとしても、詳細設計は大きく変わる余地を残したのではないか」と前向きに評価した。

半世紀以上ぶりの突然の都市計画変更

 異変の元となった変更案とは何か。東京都が1970年12月に決定した元の都市計画は、杉並区和田2丁目から善福寺2丁目まで、善福寺川をなぞって引かれた1本の線(以下図の青線)に過ぎなかった。

出典:東京都建設局「東京都市計画河川第8号善福寺川の都市計画変更素案について

 それから52年、突如、昨年8月23日に出てきた変更素案(以後、素案)と3カ月後に出た都市計画案(以後、計画案)は、川沿い3地点で取水施設を作り、立坑を掘り、地下約40mで、直径約10mのトンネルでつなぐというものだ。トンネルを調整池として、雨水を貯留する。しかし、川の下ではなく、近くを通る青梅街道、環八、五日市街道の下をシールドマシンで掘り進める。取水3地点の地上部には巨大な取水施設と管理棟を建設するというもの。