中国の食品汚染の実態を熟知している習近平

 この豚肉汚染に正面から取り組んだのが、現在の国家主席である習近平だった。2000年に当時としては最年少で福建省の省長に就いた習近平は、翌年に出演したテレビ番組の中でこの問題について言及している。

「私の友人に画家がいるんですが、彼は豚のレバー料理が大好きで、酒の肴は決まって豚レバーでした。ところがある時、絵筆を握る手が震え出し、描けなくなったというのです。病院で診察してもらった結果、肉赤身化剤、つまり塩酸クレンブテロールが原因だとわかりました。その後、豚レバーを食べるのをやめたら、良くなったそうです。肉赤身化剤は非常に危険なものだと思いますよ」

 そう語ると、省内に検査機器を導入して豚肉の検査体制を徹底したことを強調していた。中国の毒食問題の根源がどこにあるのか理解していたし、同時に食品汚染には関心が高く、積極的に問題解消に取り組んでもいた。それが日本から中国の毒食を指摘され続けてきたことが、悔しくて堪らなかったのだろう。いまにして科学的根拠を欠いた日本の毒食批判に結びつく。

 因みに、このテレビ番組に出演した習近平は、冒頭でこう述べている。

「私が福州(省都)に着いて最初にしたことは、ちゃんとしたレストランを見つけることでした。正直な話、いま、ものを食べたり飲んだりするのは実に煩わしいことです。米を食べる時には有毒米かどうかを心配し、野菜を食べる時は残留農薬を心配しなければならないんですからね」

 中国の毒食汚染のレベルの違いを一番よく知っているのは他でもない、習近平のはずだ。それがいま、日本叩きの確信犯となっている。