処理水の海洋放出をきっかけに、どうしても中国は日本の製品は健康被害をもたらし、日本の食品は汚染にまみれた“毒食”のレッテルを貼りたいらしい。
それは、かつて日本が中国の毒食問題を厳しく追及してきた意趣返しのつもりなのかもしれない。日本と中国の食料事情について取材してきた私にとっては、そう思えてならない。
プライド高い中国人が耐えられなかった日本の「毒食」報道
「どうして日本の報道は、中国の悪いことばかりなのですか」
2000年代、2010年代と、中国の毒食問題が日本で騒がれる度に、取材で訪れた中国の人たちからそう言われたことがある。「中華」といえば、世界の中心に咲く花(華)のことを指す。その国の歴史ある「中華料理」だから、世界で一番優れて美味しい料理であると自負している。その料理が毒にまみれて健康を損ねると言われることに、中国人のプライドが傷ついていたことも事実だった。
しかしながら、日本人が食の安全・安心にとても気を使うこともあって、その問題を大きく取り扱わないわけにはいかなかったこともまた事実だ。
それがここへきての、中国の根拠を欠いた日本批判と毒食扱い。ならば、根本に返っていま一度、中国の毒食の歴史を振り返っておく。これはすべて、現地取材で知ったことだ。