東京電力本社前で「汚染水放出反対」の抗議活動をする韓国の野党議員(6月22日撮影、写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 6月に入ってから韓国では、事故を起こした東京電力福島第一原子力発電の汚染水について連日報道されている。

 汚染水の海洋放流が近づいているからだ。

  現在野党である「共に民主党」は福島核物質汚染水海洋投棄を防ぐための国会決議案を国会で可決しようとし、マスコミも国民に「汚染水放流」による予想される被害を報道している。

 こうした影響で、日本では「ALPS(アルプス)処理水」と呼ぶが、韓国ではあえて「汚染水」と表記するほど、今回の放出について韓国の人たちは懸念を強めている。

 特に、福島県に面してはいないものの、日本海(韓国では「東海」)で生産される良質で人気の天日塩への被害を心配している。

 汚染水が放出されたらもう買えなくなるとばかりに、天日塩の買い占めが増えている。

 また、漁民たちは環境団体と組んで街に出て「汚染水放出反対」デモを繰り返している。

 こうした抗議活動に輪をかけるかのように、「共に民主党」を筆頭に韓国の野党は与党への攻撃を強めている。

「日本に肩入れして韓国民の健康を害そうとする」と批判したり、デモを扇動したりしているのだ。

 筆者はこの状況を見ながら、2008年の米国産牛肉輸入反対デモを思い出した。