福島第一原子力発電所に設置された、高度液体処理システム(ALPS)処理水が入ったタンク。今年3月撮影(写真:ロイター/アフロ)

「人と環境に及ぼす放射線の影響は無視できるほど」なのに中国猛反発

 東京電力福島第1原子力発電所のトリチウムが残った処理水の海洋放出について、中国が反発を強めている。

 国際原子力機関(IAEA)は4日、処理水を海洋放出する日本の計画について「国際的な安全基準に合致している」と結論づける包括的な報告書を公表した。報告書では「処理水の放出が人と環境に及ぼす放射線の影響は無視できるほどわずか」としている。

 ところが、これに中国が反発。

 中国外務省は報告書公表後に談話を発表し、処理水放出の中止を求め「強行すれば日本があらゆる結果の責任を負わなければならない」と対抗措置をとることを示唆。

 中国外務省の毛寧副報道局長は同日の記者会見で「IAEAの報告書は日本の海洋放出を正当化するものではない」とまで言ってのけると、6日には汪文斌副報道局長が、日本の計画について「国際社会と十分な協議をしていない。身勝手で傲慢だ」と批判。

 7日には中国の税関総署が談話を発表し、「中国の消費者は日本から輸入される食品の安全性を憂慮しており、食の安全を確保するため事態の推移を見ながらあらゆる措置をとる」として、日本からの食品輸入を規制する方針を示した。つまり、中国は日本の食品を“毒食”と認定するつもりのようだ。

 いったい、どの口が言うのか。