統一教会と多摩ニュータウンの空室リスク

──統一教会がこの土地を購入したのは2022年4月ということですが、安倍元首相が殺害されたのは2022年7月。時期を考えると、統一教会問題が再燃する前に土地が購入されています。もともと統一教会はこの土地で何をしようとしていたのでしょうか。

永井:役所への通知文書では「研修のための施設」と記載されています。この辺りは多摩市の産業エリアで、食品会社の工場などもある地域です。

──この1年の統一教会問題の報道があり、これまでのようには活動できなくなるため、渋谷にある本部を手放して、こちらの多摩市の拠点を新しい本部にするのではないかという報道も見られます。

永井:その可能性は十分あると思います。専門家も盛んにそう言っています。被害者などの損害賠償請求などもあり、統一教会が多額の借金を背負う可能性もある。このために渋谷の本部建物を手放して移転してくる可能性はあると思います。

──多摩市に統一教会が入ってきたら、どのような形で影響が出るとご想像されますか。

永井:多摩ニュータウンには団地があります。2割ほどが空き室になっている。ここに、10年から20年くらいのスパンで信者がどんどん移り住んでくるかもしれません。そうなると、多摩市の行政を支配するような事態にもなりかねない。

──市長が建物の解体工事を止めるよう統一教会に求めているということですが、行政としては統一教会の移転に対して何か対応しようとしていますか。

永井:2022年4月に統一教会が多摩市の土地を購入しましたが、市民がそのことを知ったのは今年の3月の市議会です。この間の1年近くは、誰もそんなことは知らなかった。

 その後、私たちが運動を始めてから市長が東京都に申し入れをしたり、統一教会に対して工事を止めるようにお願いしたりといったことを始めました。市議会も、各会派の市議たちが統一教会の移転の問題を俎上に乗せています。今は市長、市議会、市民が一体となって問題に取り組んでいます。