利用拡張が続くマイナンバーカード(写真:アフロ)
  • 今年3月以降、住民票の誤送付や公金受取口座の誤登録など、マイナンバーカードと個人情報の紐付けミスが大きな問題になっている。
  • こういった自治体の情報連携ミスは年間1万件起きていると言われているが氷山の一角である可能性が高い。
  • 制度の導入から7年が経ち、マイナンバー制度は利用方法が拡張され、当初の原則から崩れている。大惨事が起きる前に、基本方針を見直し、制度を再構築すべきだ。

(榎並 利博:行政システム株式会社 行政システム総研 顧問、蓼科情報株式会社 管理部 主任研究員)

 今年の3月以降、マイナンバーカードと紐付けの問題が大きくクローズアップされている。三人の大臣が陳謝するなど混乱を招き、一向に収まる気配がない。

 これらは複数の原因が絡んでおり、初期トラブルとして許容すべきものと、当初の方針から逸脱していると思われるものまである。

 筆者は以前の拙稿 でマイナンバーカードの紐付け問題を取り上げたこともあり、今回の問題を解きほぐすとともにマイナンバー制度の今後についても展望したい。

【著者の関連記事】
◎1回目:デジタル庁が発足して1年、ちっとも進まないデジタル化の根源に横たわる呪い
◎2回目:デジタル化のメリットが反映されていないマイナンバー制度の致命的欠陥
◎3回目:マイナンバーカードと健康保険証の一体化、今のままでは大惨事が起きかねない
◎4回目:日本をデジタル後進国たらしめている根源、マイナンバーの呪いを解く呪文とは
◎5回目:マイナンバー賛成・反対の不毛な問い、日本のデジタル化を阻む「呪い」の正体

 今回の主な問題は下記の3点であり、原因はそれぞれ異なる。しかし、すべてを紐付けミスとして取り上げられることも多く、一部で誤解を招いているケースもあるようだ。

①住民票の誤交付:マイナンバーカードを使ってコンビニで住民票を取得しようとしたところ、他人の住民票が交付された。
②公金受取口座の誤登録:マイナンバーカードを使ってマイナンバーと公金受取口座を紐付けたら、他人名義の口座が登録されていた。
③保険証情報の誤登録:マイナンバーカードで保険証の情報を見たら、他人の保険証情報が紐付けられていた。

 結論から言うと、今回の3つの問題と以前の筆者の指摘とは関係がない。しかし、この問題をきっかけに筆者の懸念を裏付ける資料があることが判明し、それはそれでまた大きな問題であることを後半で指摘したい。