「どうせ60代で死ぬんで」

 Iさんは自分の今後をどのように考えているのだろう。

「将来のことはメチャメチャ不安です。今は一人なので生きてはいけますが、貯金はしない主義なので全然ありません」

 老後はどうするのかと聞いたら、「65歳までに死ぬ予定なんで」との回答。

 Iさんのように貯金もなく、年金も払っていないという40代の独身男性に今後のことを聞くと、「どうせ60代で死ぬ」と発言する人はしばしばいる。

 そして、彼らが語るのは「人間関係が苦手」だ。就職が思う通りにいかず、ストレスフルな職場に翻弄され、人間関係が苦手、家族もいないという要素が重なると、「どうせ死ぬ」という考えになるかもしれない。

 Iさんがメンズエステという特殊な仕事に手を出したのは、「それでもどこかに自分の爪痕を残したい」という叫びなのだろうか。

「とりあえず、メンズエステの副業は辞めます。今の本業でもう少し収入が増えればいいのですが。貯金も少しはしないといけないですね」

 Iさんから少しだけ前向きな発言が出た。

 辞めるIさんに、メンズエステのオーナーが直接会ってねぎらいの言葉をかけることはないのだろう。オフラインで呼びつける偉そうな人もいれば、オンラインで済ませる偉そうな人もいる。

 説明や指示はリモートでもいいが、お礼やお詫びのような心を届ける場面は、対面で伝えて欲しいものだが。

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