5月22日、バフムート近くの前線のシェルターにて微笑むウクライナの兵士(写真:AP/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「20日正午にバフムートを完全制圧した」

[ウクライナ中部クリヴィー・リフ発]露民間軍事会社ワグネル・グループ創設者で「プーチンの料理番」ことエフゲニー・プリゴジンは20日、メッセンジャーアプリ「テレグラム」へ動画を投稿し、ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムートについて「20日正午に完全掌握した」と宣言した。25日までにロシア軍に引き継いでバフムートから撤収するという。

テレグラムに投稿した動画で「バフムート掌握」を宣言するプリゴジン(筆者がスクリーンショット)

「バフムート奪取作戦は実に224日間に及んだ。肉弾戦は昨年10月に始まった。バフムートで戦っていたのはワグネルだけだった。ロシア正規軍で助けてくれる部隊はいなかった。ワグネルは自発的に戦争に参加し、領土を解放し、祖国の国益を守った。ワグネルは将官、元警察官、ロシア連邦保安庁(FSB)将校、元服役囚が一つの軍隊として行動している」

「ワグネルを支えてくれたロシアの人たちにありがとうと言いたい。この戦争で亡くなった人たちに感謝する。祖国を守るためにこの機会と高い名誉を与えてくれたウラジーミル・プーチン大統領に感謝する。私たちが戦った相手はウクライナ軍だけではない。ロシアの官僚主義とも戦った。特に一部の軍官僚がそうだ」

 プリゴジンはセルゲイ・ショイグ露国防相とワレリー・ゲラシモフ軍参謀総長を「戦争を自分たちのオモチャにした」と改めて侮蔑した。「彼らは自分たちの気まぐれが戦争で実現すると思い込んでいた。その気まぐれで死傷者は5倍に膨れ上がった。ワグネルは25日から休息と再訓練のため前線から遠く離れた訓練キャンプに引き揚げる」