ロシア軍のMiG-31K戦闘機に吊架された極超音速ミサイル「キンジャール」(資料写真、2018年5月9日、写真:AP/アフロ)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 ロシア軍の航空機発射弾道ミサイル「キンジャール」を、ウクライナ軍が次々に迎撃、撃墜しています。5月4日に1発、5月16日には6発ものキンジャールを撃墜したようです。

 迎撃に使用されたミサイルは、自衛隊も使用するパトリオットで、落下した残骸から弾種はPAC-3CRI(廉価版PAC-3)だったと思われます。

 ロシアが「迎撃不可能」と豪語していた極超音速ミサイル、キンジャールを迎撃したことで、パトリオットとウクライナ防空網の頑強さが見事に示されたことになりました。

 しかし、筆者は、実際にパトリオットを含む防空システムに触れていた者として、このニュースに諸手を挙げて喜ぶことはできません。重大な懸念が2つあるからです。

 それらの懸念について、的中しないことを祈りつつ以下で解説します。