330万個のバタフライ地雷の破壊がさらに必要

 グース氏は「ロシア軍はウクライナ国内で対人地雷を繰り返し使用し、残虐行為を続けている。しかし、だからといって、ウクライナ政府が対人地雷のような禁止兵器を使用してよいことにはならない」と指摘する。

 ウクライナの地雷除去作業員はHRWの現地調査に対して「PFMはイジューム一帯のそこら中にある」と証言している。PFMが散布されたのは当時ロシア軍が展開していた場所に近いことから、標的はロシア軍だったことがうかがえる。

 ウクライナは旧ソ連崩壊により大量の対人地雷の在庫を引き継いだ。1999~2020年にかけ、PFMを含む対人地雷340万個以上を廃棄。21年、ウクライナは国連事務総長に対し備蓄する330万個のバタフライ地雷の破壊がさらに必要だと報告している。

 自衛戦争であっても戦争は次第に人間の理性を失わせていく。ウクライナ軍関係者によると、同国軍はロシア軍から奪った対人地雷も使っているという。