「一歩踏み出す時、絶対、全体重を乗せてはダメ」

ロシア製の対人地雷や手榴弾(昨年6月、クリヴィー・リフで筆者撮影)

 平和と戦争の間には残酷な落差がある。兵士たちの指導を終えたニコライは「地雷原に足を踏み入れたら、少し前方を注意深く見るんだ。そして足元を確かめる。一歩踏み出す時、絶対に全体重を乗せてはダメだ。探るように足を進め、少しでも違和感があったら棒で慎重に探る。ネコのようにそっと足を進めるんだ」と地雷探知のコツを筆者に教えてくれた。

 ウクライナ軍は「春の反攻」で塹壕、対戦車溝、「竜の歯(装甲車を妨げる鉄筋コンクリートの障害物)」、機関銃を設置したコンクリートの陣地、バンカーによる幾重もの防御線を突破しなければならない。対車両・対人地雷やブービートラップも仕掛けられている。反攻において地雷除去は極めて重要な役割を果たす。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、地雷、仕掛け線、ブービートラップはロシア軍にとって、ウクライナ軍の歩兵に重傷を負わせたり、装甲車を停滞させたりするための防御手段だ。

 村の道端で土中に埋めたり、瓦礫で覆ったりして簡単に仕掛けられるが、見つけるのは至難の業だ。今年3月に226人の市民が地雷で死亡し、724人が負傷した。

「ロシア軍が占領していた農村部で人が吹き飛ばされることが非常に多い。畑を耕すため、人々は自分で地雷を掘り起こさなければならない。気づかず地雷を踏んでしまうこともある。手榴弾が枕の下に仕掛けられていて、頬杖をついたら爆発したという悲劇も起きている。たくさんの民間人が吹き飛ばされているんだ」とニコライは説明した。

今年1月下旬、ルハンスク州クレミンナで対戦車地雷を踏んで左足を吹き飛ばされたヴラディスラさん(右、西部テルノピリの病院で)