中期で見れば、公共サービスをあまり受けていない低所得の単身者も公共サービスの受益者になる可能性がある(写真:アフロ)

(山本一郎:投資家、作家)

 2019年に放送された「林先生が驚く初耳学!」において、林修さんがあたかも「低所得者は社会のお荷物」と主張したかのようにネットで発言を切り取られた件が問題になっています。さらに、「日本から出ていけばいい」という強い言葉のテロップもその部分が切り抜かれ、今なお中傷の対象となっています。

 この件で、林さんは「この手のガセネタを流している人に法的措置を取るぞ」と発表しています。林修さん、そもそもそんな趣旨ではお話になってませんから、ブチ切れて法的措置をお考えになるのも分かります。

 むしろいろんな意見がありますと穏当に語ったうえで、公共サービスにコストがかかっており、そのうえで私たちが暮らすにあたって「応分の税負担とは何か」という点について論考されたまでだと思います。

【関連資料】
ご報告(いつやるか?今でしょ日記 林修オフィシャルブログ)

 しかも、その元ネタは、私がプレジデントさんからの取材に対して、財政学や社会保障論のイロハの議論として、公共サービスの負担と受益の関係を説明した内容がベースです。その私のところにも、かねて「弱者切り捨てを正当化する言説だ」などのご批判が来ました。そんなこと、一言も書いてませんけどね。

 まあ、世の中いろんな議論があり、意見があって良いとは思います。

【関連資料】
年収890万円未満は"社会のお荷物"なのか

 本件は、あくまでも問題提起として林修さんが番組でこの議論を取り上げ、考え方について解説をされただけであって、林さんがご自身の固有の意見としてそうお話になったわけではないのは自明です。

 これに対して、ネットに良くいる変なのが林さんへの中傷の具として、割と基本的な財政学や社会保障論への誤解に基づく拡散をしているのは残念なことです。