日本では安倍元首相銃撃事件をきっかけに旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する非難が沸騰したが、統一教会の本拠地である韓国では現在、「キリスト教福音宣教会」(韓国での通称は「JMS」)というカルト宗教が社会に衝撃を与えている。
日本での通称が「摂理」と知れば、その名に覚えがある読者も多いのではないだろうか。2006年ごろ、日本の女子大生らもその“被害”にあったことから社会問題化したあの教団である。
高身長で美しい女性ばかりが教祖に献上
韓国でこの摂理に再び批判が集中するきっかけになったのはNetflixのドキュメンタリー『すべては神のために:裏切られた信仰』だ。全8回のうち3回で、摂理の鄭明析(チョン・ミョンソク)教祖による数多くの女性信者への性的暴行を取り上げ、チョン・ミョンソクの猟奇的とも言える行動をあらためて白日の下にさらしたのだ。
『すべては神のために』によると、小学校しか卒業できなかった鄭明析は予言と治癒の能力があると自称し、大学街を中心に布教活動を行い、数多くの名門大学の学生、そして女子大生たちを信者として獲得していった。彼は自ら「メシア」を称して、若い女性たちを「主の花嫁」を意味する「信仰スター」に選抜して布教活動に同行させた。
信仰スターに選ばれる女性信者の条件は身長が168cm以上で、外見が優れている10代~20代前半で、彼女らは一生結婚せずに鄭のために生きなければならなかった。彼女たちは様々な名目でカネを吸い上げられるばかりか、鄭の要求に応じて性的奴隷のような役目まで果たさねばならなかった。