デリスキングの手段は様々

 4月18日に会合を開いた主要7カ国(G7)の外相たちも同じ調子で、中国が避けるべき行動をリストアップし、外国企業に中国市場進出を認める見返りに技術やデータの提供を強要したり、商業秘密のサイバー窃盗を支援したりするのをやめるよう求めた。

 外相らはおまけに、台湾問題を含む領土紛争の解決に武力を使うべきではないとの警告も発した。

(そんな事態になれば、それだけで世界経済が大混乱に陥りかねない)

 米国でもEUでも、そしてそのほかのどの国においても、デリスキングは中国への投資や中国からの投資の事前審査や、投資の抑制を伴う可能性がある。

 さらに、重要なサプライチェーンにおける中国の支配力を低下させるために、国内産業再建に補助金が投じられることもあり得る。

 デリスキングは国家安全保障手段の使用という形を取る場合もある。

 例えば米国、日本、オランダは、中国が外国の技術を用いて強力な兵器を製造するのを防ぐために、最先端の半導体やその製造に必要な装置の対中輸出を制限している。

人権問題でもリスク管理

 リベラルな民主主義国は、人権のように緊張感をはらんだ分野においてもリスク管理に走っている。

 外国が批判しても、中国による新疆ウイグル自治区の冷酷な支配が終わることはない。

 中国の西端にあるこの土地で、当局はイスラム過激派との戦いを口実にモスクを破壊し、詩人たちの身柄を拘束し、現地のウイグル人を再教育収容所や強制労働プログラム、過酷な全寮制の学校などに送り込んでいる。

 だが、民主主義国には、抑圧の果実の購入から消費者を守る権利がある。

 米国では2021年に成立したウイグル強制労働防止法により、強制労働によって作られたものではないと取扱業者が証明できない限り、新疆製の製品や同地区産出の原材料を使用した製品の利用が禁じられている。

 過去10カ月間には、同地区で採掘・処理されたポリシリコンを使うことの多い太陽光パネルなど、計10億ドル近い価値の製品が税関で没収の憂き目に遭っている。

 またEUは中国を名指しせず、強制労働による製品の禁止を提案している。