(英エコノミスト誌 2023年4月15日号)
世界最大の経済大国は2位以下をさらに大きく引き離している。
米国人がそれぞれの政治的立場を超えて合意できることが一つあるとするならば、それは経済がメチャクチャだということだ。
貿易をぼったくりと見なし、米国は衰退していると考えていたドナルド・トランプ氏は、国を再び偉大にするとの公約を掲げて大統領になった。
現職のジョー・バイデン大統領は国をより良い姿に建て直すことを期待して、経済再生に2兆ドル投じている。
国民も心配している。
世論調査によれば、自分の子供の暮らし向きは自分たちより悪くなると予想する人は全体の5分の4近くに上り、調査が始まった1990年以降で最多になっている(当初は約5分の2にとどまっていた)。
前回、これほど多くの人が経済がひどい状態にあると考えていたのは、十数年前の世界金融危機の真っ只中でのことだ。
規模も生産性もトップ独走
しかし、不安にかられると、あっと驚くほどの成功も霞んで見えてしまう。
長きにわたって他国を上回る実績を上げてきたサクセスストーリーが過小評価されているのだ。
米国は今でも世界で最も豊かで、生産性が最も高く、イノベーションでもトップを走る経済大国だ。しかも驚くほど多くの指標で、他国をさらに引き離しにかかっている。
経済的な成功を示す指標としておなじみの国内総生産(GDP)から見ていこう。
1990年には世界全体のGDP(市場為替レート換算)の4分の1を米国が占めていた。
それから30年あまり経過し、中国が経済的な影響力を得た今でも、このシェアはほとんど変わっていない。