(英エコノミスト誌 2023年4月1日号)

通貨安は輸出産業に追い風だが、しばらく続くと甘えにつながるのはどこかの国も同じだ(写真はイスタンブール)

通貨リラが80%下落するも、エルドアン大統領の薬は効かない。

 トルコを訪れる人は街のレストランの様子を見て驚くことが多い。

 景気の低迷で疲弊しているはずの国にあって、少なくとも大都市ではレストランが客であふれているからだ。

 だが、外見は当てにならない。

 この盛況には、指をくわえてインフレの進行を眺め、自分の貯蓄が明日目減りするくらいなら、今日の稼ぎは今日のうちに使ってしまう方がましだと考えるトルコの中間層の行動が大きく影響している。

 インフレは公式的には前年比55%とされているが、実際はもっと高率だと見られている。

利下げでインフレに拍車

 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、物価の急上昇を受けて中央銀行に利下げを強要し、通貨リラを急落させた。

 輸出価格を押し下げ、国内生産を促すことで、通貨安が景気を加速させると期待した。

 トルコ財務相は、装いも新たに「新経済プログラム」と称されたこの経済政策が今年の大統領・議会選挙の前にインフレ率を1ケタに引き下げると約束した。

 ことは思惑通りには進まなかった。

 輸入の必要性に変わりはないが、今では価格は大幅に上昇している。

 そのため輸出を大幅に上回る額になっており、トルコは過去40年間で最大の経常赤字を計上することになった。

 年間インフレ率は昨年の85%からは低下したものの、主に裕福な国々で構成されている経済協力開発機構(OECD)においては今なお断トツに高い。

 経済成長は続いているが、これは輸出よりも消費の持続不可能な増加による部分が大きい。

 エルドアン氏の経済モデルの中身を踏まえれば、これは当然の成り行きのように見える。