習近平主席の目標が大きな障害

 残念ながら、こうした多様な戦略で成功を収めるには、大きな障害を乗り越えなければならない。

 その障害とは、習近平氏の率いる中国がデリスキングされることを望んでいないという事実だ。

 前述した外交における率直さから見ていこう。

 西側は、列強の反発を買う行動や、欧州やその他地域の人々が快哉を叫ぶような譲歩(例えば、気候変動についての国際的な公約)のリストを作って中国に手渡すことに利点があると考えている。

 実際には、中国は米国やその友好国によるお説教には多くの国々が、特に貧しい国々が憤慨しているとの確信を強めている。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領とブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領が先日、それぞれ訪中した際に米国をたしなめる発言をしたことは、この見方をさらに裏付ける材料になった。

 中国外務省は、グローバル・サウスにアピールするよう計算された言葉を使ってG7が出した声明を一蹴した。

 同省の報道官は、G7は「傲慢」で「相手を見下したように指弾」しており、そうしたやり方は「今日の世界の主流トレンドに反している」と批判した。

何もかもが国家安全保障の問題

 中国は、自国のサプライチェーンのデリスキングが部外者の手で行われることも望んでいない。

 望んでいるのはその正反対の状況で、中国が重要な財・コモディティーの生産国として支配的な役割を手に入れることが習氏の明示的な目標だ。

 習氏は数年前、中国共産党のトップとして、中国のサプライチェーンに外国が依存する状況を「(外国への)強力な反撃・抑止力」と呼んでいた。

 対照的に国内では繰り返し、重要な技術について外国人への依存を避けて自立を達成するよう促している。