郊外部で強まる戸建住宅との競合
こうしてマンションストックの現状をみると、首都圏の都心や近畿圏の中心部などで超高層マンションなどの開発が進んでいるものの、交通アクセスに恵まれたエリアで、マンションに適した広さの更地を確保することは極めて難しくなっており、再開発が中心になっている。
また、分譲までには長い年月がかかり、資金面などで体力のある大手不動産でないと対応は難しく、中堅以下の不動産などは、郊外部に主力を移しつつある。
しかし、郊外部では戸建住宅との競合が強まっている。東京カンテイによると、新築マンションは徒歩5分が最も多いものの、戸建住宅は徒歩15分が最も多い。
コロナ禍以降、ワークスペースの必要性などからより広い住まいを求める傾向が強まり、多少都心から遠くても、最寄り駅からの徒歩時間が長くなっても戸建住宅のほうがいいとする人が増えているといわれる。戸建住宅との競合を考えると、やはりマンションが勝てる立地を確保するのは簡単ではないだろう。
国土交通省のデータをみても、【グラフ4】にあるように、このところは分譲住宅のなかではマンションより戸建住宅の着工戸数がかなり多くなっている。
長期的な視点から都心部や中心部のマンション開発を進める一方、郊外部などで戸建住宅に勝てる立地をいかに確保していくか、マンション開発は難しさが増している。
マンションもつくれば売れるという時代でなくなっている。今後、いかに魅力ある物件を開発できるか、不動産会社の力量がますます問われる時代になっていきそうだ。