海外の資産家や投資家に買われる沖縄の高額物件

 沖縄県のマンション全体は4万1525戸で、全都道府県のなかでは17位だが、築10年以内に限ると1万4218戸で、12位に上昇する。ストック全体では上位に位置する宮城県や静岡県を上回るピッチで築10年以内のマンションが増えている。

 総ストックに占める築10年以内のシェアは34.2%に達する。築10年以内のシェアを都道府県別に比較すると、総ストックが最も多い東京都は19.7%で、2位の神奈川県は13.7%なので、沖縄県にはるかに及ばない。

【グラフ2】にあるように、築10年以内のシェアの高さをランキング化すると、沖縄県が34.2%と断トツのトップで、2位は岡山県の22.8%、3位が島根県の22.5%などとなる。


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 マンションストックが比較的少ない島根県、高知県などで新築マンションの建築が進めば、結果的に築10年以内のシェアが高くなるのは当然のことだが、沖縄県は総ストックも17位と比較的多いなかで、新築マンションが増え続けていることになる。

 その最大の要因は、地元の人だけではなく、首都圏や近畿圏、さらに海外の資産家や投資家から、別荘や投資用物件として注目されるようになっており、大規模マンションが続々と建設されている点が挙げられる。

 大手不動産会社や大手住宅メーカーの分譲マンションも増え、価格は首都圏や近畿圏並みの高額物件も多数登場している。それが沖縄県全体の価格を押し上げ、結果的に地元の人たちが購入できなくなっているという嘆きの声も聞かれるほどだ。

 その沖縄県で最も安定的に新規分譲が行われているのが県庁所在地の那覇市で、市内では億ションもみられるようになってきた。最近は那覇市のベッドタウンの機能を持つうるま市、那覇市と沖縄市のほぼ中間にある宜野湾市でも新規分譲が行われるようになっている。

 那覇市の郊外部やベッドタウンでは、全国や海外からの投資家だけではなく、地元の人たちも購入するようになっている。台風などの自然災害の多い沖縄県では、マンションなら安心という地元の人たちも少なくないようだ。

 2020年と2022年を比較した人口増加率では、全国都道府県のなかで、唯一沖縄県のみ0.08%の増加だった。背景には全国的にみても高い出生率が挙げられるが、同時に那覇市などのマンションを買って移住する人が増えている点も要因とみられている。