腹ばいになって給油ブームを操作

 空中給油を行う側のタンカー機KC-130に乗り込むと、機内は小さな窓から僅かに外光が射すだけのがらんとした薄暗い空間だった。基地から約一時間の飛行後、高度約1万メートルの太平洋上で訓練は行われる。

 米軍のブーマーという給油担当の兵士から「ヘイ‼ 今からオペレーションだ。尾翼へ行くぜ」と、声をかけられた。

 慌てて窓の外を覗くと、いつの間にかF-16が近くで編隊を組んでいた。

編隊飛行しながら給油の順番を待つF-16戦闘機(写真:橋本 昇)
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 尾翼近くには手摺の付いた梯子と、その上のところに1.5メートル四方程の窓があり、ブーマーはその窓に向かって腹ばいになると操縦桿を握った。私も彼の隣で腹ばいになり外を見た。

 しばらくすると、雲一つない透明な空の中を一機のF-16がバランスを取るように翼を上下に振りながら近づいてきた。すると、給油機の先端からブームという管がスルスルと伸びて行き、その管がF-16の給油口にゆっくりと収まっていった。時間にして約2分で給油完了。あざやかな手際だ。

F-16給油口に管がピッタリ納まり燃料が送り込まれた。その間パイロットの表情が読み取れるかのようだった(写真:橋本 昇)
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 その後、同じ手順で次々と4機に給油し、最後に自衛隊のF-15イーグルに給油してその日の訓練は終了した。