「F-16と戦車」という最強コンビ

 ではなぜ最初にF-16なのか?

 米軍には機首にイボイノシシと呼ばれる30ミリガトリング砲を取り付けたA-10サンダーボルトという局地攻撃機もあるが、そしてそのピンポイントアタックの破壊力は凄まじいのだが、このA-10は何しろ速度が遅い。攻撃中は時速300キロという低速度なのだ。その点F-16はA-10を遥かに超えるスピードで攻撃する。やはり攻撃においては、F-16と戦車というのが「最強コンビ」なのだ。

 F-16戦闘機、愛称ファイティング・ファルコンは、ゼネラル・ダイナミックス社が1974年に初飛行に成功して以来50年近くになるが、生産数5000機以上というベストセラーの戦闘機だ(現在はロッキード・マーティン社が生産)。機体価格が比較的安価なこともベストセラーの理由だが、性能も凄い。

 重量9207kg、全長15m、幅9.96mで最高速度はマッハ2以上、航続距離は3200キロだ。空対地ミサイルスパロー、M61bバルカン砲、レーザー誘導爆弾を装備している。

 かつてヨルダン川西岸のパレスチナ自治区トゥルカレムで取材していた時にイスラエル空軍のF-16による攻撃に出くわしたことがあるが、その破壊力は恐ろしいものだった。夜、突然に空襲警報が鳴り響き凄まじい爆音がしたと思った途端に近くのパレスチナ放送局の建物が一瞬にして破壊されたのだ。

 日本では青森県三沢基地に米空軍第35戦闘航空団第13・14飛行隊としてF-16戦闘機が配備されている。この飛行隊の通称は“ワイルド・ウィーズル”(野生のイタチ)。イタチのようにこっそりと獲物に近づき奥深く潜入するという意味のようだ。

 実は以前、このF-16戦闘機の空中給油訓練を三沢基地で取材したことがある。その様子を書いてみようと思う。