少子化対策には楽しくしっかり学べる教育現場の改革が不可欠だ

1、こども・子育て政策に必要な論点

 岸田文雄内閣はこども・子育て支援を最重要政策と位置づけている。

 急速に進む少子化に歯止めをかける対策としてこれを検討しているため、いかにして出生率を引き上げるかという目標に論点が集中している。

 そのために検討されている主な施策は、就学前児童の子育て支援制度・組織の充実、出産・子育て応援交付金等子育て支援補助金の増額、両親の子育て環境改善のための社会制度構築などである。

 いずれも重要な施策であるが、この議論の中で一つ重要な点が論じられていないことに気づく。それは小中高校の学校教育の質向上の問題である。

 経済的、社会制度的に育てやすいから子供を生みたいと思う人もいるが、養育負担が大きくても可愛い子供、立派な子供を夫婦で育てたいと思って生む人もいる。

 特に子供を育てている子育て世代は、子供たちが幼稚園、小学校、中学校、高校で学んでいく過程で、毎日楽しく充実した学校生活を送り、家庭内でも笑顔があふれていると、その子供たちからお金では買えない大きな幸せを得る。

 これが子育てをする多くの人たちの最大の喜びになっていると思う。

 そうした子育て世代の両親がしばしば楽しそうに子供の話をしていれば、若い世代の人たちも、自分も子供が欲しいと思うはずである。

 しかし、最近の学校では学級崩壊、不登校、いじめなど、子供も親も苦しんでいる状況がますます深刻化している。

 この状況を見てしまうと、一部の人が子供を欲しいとあまり思わなくなるのは無理もないように思われる。

 そうした点に目を向ければ、少子化対策のもう一つの論点として、小中高校における子供たちの教育環境の改善という課題が検討されるべきである。

 これは、育てる側の両親に対する経済的・社会制度的支援に加えて、育てられる側の子供の視点に立って、子供たちが毎日楽しく学べる環境づくりを考えるという論点である。