銚子港は、釧路港、焼津港とともに日本三大漁港と呼ばれている(写真:アフロ)

(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

 国内で新型コロナウイルスの感染者が確認されてから間もなく3年。この間、私たちは第1波から第8波まで、感染拡大の波を幾度も経験し、東京オリンピックをはじめさまざまなイベントや行事の延期や中止を余儀なくされてきました。

 しかし、2023年に入って早々、大きな動きがありました。政府の対策本部は今年5月8日より、新型コロナの感染法上の位置づけを現在の「2類相当」から、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行することを決めたのです。

<新型コロナ 「5類」への移行 5月8日に 政府が方針決定 >(1月27日、NHK)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230127/k10013963141000.html

 一方、同じ日に、中国からはこんなニュースも入ってきました。

<新型コロナの感染が収まらない中国では棺が不足し、葬儀費用が高騰している>(1月27日、BUSINESS INSIDER JAPAN)https://www.businessinsider.jp/post-264826

 上記記事によれば、中国の農村部では棺が不足するほど死者が出て火葬場が混雑し、葬儀を待つ遺体が増えているというのです。そして、葬儀業界で働く人々は「ちょっとした財産を築いている」とも。

 中国では正確な死者数を発表していないようですが、真実はどこにあり、今後どうなっていくのでしょうか……。

 日本に住む私たちは、ただ国の方針に従っていくしかありません。

江戸時代の人々を恐怖に陥れたコレラ

 パンデミックが起こり、死者が急増すると、「棺が不足」「埋葬が追い付かない」といった事態がたびたび報じられますが、実は、幕末(1854年)の日本にコレラが上陸したときも同様に、江戸の町は大変な状況に陥りました。

 世界中を恐怖に陥れたコレラは、コレラ菌を含んだ水や食料を口に入れることで感染し、激しい下痢や嘔吐の症状が出ます。そして、脱水症状が進むと、2~3日で死に至ることから、当時は「3日コロリ」とも呼ばれていました。

 町人たちが住む長屋では、井戸や厠を共用していたため感染が一気に広まり、一つ屋根の下に何組もの家族が枕を並べて死んでいる状態だったようです。